次世代に伝えたい宮崎の伝統の味「冷や汁(ひやしる)」
2022/12/19ハレタン編集部 チーム008
「冷や汁」の歴史
「冷や汁」は、宮崎県の平野部を中心とする郷土料理で、食文化の拡大につれて県内に広がり、暑く湿気の多い宮崎県の気候風土の中で根づいていきました。
かつて農民たちが夏の重労働を行う際に、時間や食欲のない中でも充分な栄養補給や体力回復ができるようにと、麦飯に生味噌をのせ、水をかけて食べていたことが起源とされています。簡単に食べられる生活の知恵、時短料理として、伝承されてきた料理です。
ひやしる? ひやじる?
冷や汁は、宮崎県以外にも、埼玉県や山形県などの郷土料理でもありますが、宮崎県では「ひやしる」と呼ばれているのが特徴。鎌倉時代の『鎌倉管領家記録」に「冷汁」と記載されているのが、最も古い記録とされており、この「冷汁」に一番近いのが、宮崎県の冷汁だそうです。黒潮に面した日向灘で採れる新鮮で豊富な魚介類、野菜や作物など、自然のおいしい食材の持ち味を生かした食べ方が「冷や汁」と言えるのかも知れませんね。
冷や汁の作り方・食べ方
昔ながらの作り方をご紹介します。まず、タイかアジなどの魚を素焼きにし、身をほぐして骨を丁寧にとっておきます。すり鉢で白ごまをすり、ほぐした魚の身と味噌を入れてすり合わせ、すり鉢の内側にまんべんなく塗りつけます。これを逆さにふせ、炭火で味噌の表面に軽く焦げ目がつくまであぶります。そこにだし汁を入れて味噌汁より濃いめの汁に仕上げて冷やしておき、小口切りにしたきゅうりを加えます。このかけ汁を熱い麦飯にかけていただきます。
現代風アレンジレシピ
タイやアジなどの魚の代わりに、いりこ(煮干し)を使うこともできます。頭と腹わたを取り、フライパンで炒ってから同じように使うことができます。また、すり鉢の内側に塗りつけた具を炭火であぶる工程は、もちろんコンロで代用可。または、アルミに薄くのばし、トースターなどで焼く方法でもおいしく作ることができます。
健康食として食欲の落ちる暑い夏に、夏バテ対策メニューとしてテレビや雑誌で取りあげられることも多く、機内食になったりと、全国的に認知度があがっています。素材を厳選し、調理方法を工夫した冷や汁も様々に登場しています。
<まとめ>
忙しい農家の食事だった冷や汁ですが、健康食としてのイメージも高く、夏バテ対策として現代でも食べられています。元々家庭料理だったので、家庭によってさまざまな食材や作り方があるようですので、ぜひいろいろと作って夏バテ防止に活用してみましょう。